実家を相続したけど、肝心の権利書が見つからない
父親の相続後、独り暮らしの母親は施設に入所していましたが亡くなり、姉妹4人で相続することになりました。
空き家状態であった実家は、姉妹4人が、其々、遠隔地で生活していることもあり、管理できない状態です。
遺産分割協議の結果、実家は売却することになり、分割協議と実家の売却をお受けすることになったのですが、肝心の家の「登記済証」=「権利書」が見つからないとご相談頂き、次の方法で対処することができました。
不動産登記法の改正で、権利書は「登記識別情報」で電子管理されています
平成17年の不動産登記法が改正され、約100年続いた「登記済証」=「権利書」に変わり現在では、「登記識別情報」という12桁の英数字で構成されたパスワードで、電子管理されています。
不動産所有者しか必要のないパスワードですから、目隠しシールにより保護されています。
売却や担保設定をするような時以外は必要無いので、不要に剥したり、紛失したりしないように注意が必要です。
売却については、所有者の意思によりされますので、現在でしたら、移転登記された登記識別情報にある所有者本人の意思で行われる登記の確認が必要になります。
不動産売買には「権利書」が必要ですが、相続登記では、不要です
今回のご相談は、被相続人の実母が亡くなり実家で「登記済証」=「権利書」を探しても見つからなくて困ったというご相談です。
先ず、「権利書」が必要な場合とは、不動産を売却する時や担保設定するような不動産所有者が不利益となる登記申請において、本人の所有や意思を確認する為に必要となります。
しかし、相続は本人意思による所有権の移転登記では無いので不要となり、相続人の遺産分割協議書で相続登記は可能になります。
「権利書」を紛失しても相続登記は可能です。その後の売却は、交付された登記識別情報が必要になります。
登記済証=「権利書」や登記識別情報を紛失したらどうすれば?
権利書や登記識別情報を紛失した場合には、2つの対処方法があります。
・本人確認情報
権利書や登記識別情報に代わる書類で、司法書士が不動産所有者であることを確認し、責任において所有者であることを証明するものですが、有料で高額な費用の負担となります。
しかし、実務における時間や手間を考えると、お任せするケースが多いようです。
・事前通知制度
権利書がないまま、紛失し提出できない理由を添えて登記申請します。それを受けて、法務局から本人限定郵便で事前通知が届くので記名し実印を押して返送します。
このことで、本人意思の確認ができるので申請が受理されます。時間と手間を考えると、専門家にお任せすることが多いようです。
権利書や登記識別情報は、不動産の登記申請のような重大な決定が、本人の意思によって行われているかの確認の為に必要であるということです。
相続手続きや登記行為は、早目に専門家にご相談されることをお勧めします。

関連した記事を読む
- 2021/04/08
- 2021/04/02
- 2021/03/30
- 2021/03/26