不動産売却や建替えで、新規有効活用の相続対策を考える
日本では相続評価は不動産の評価が多くを占めています。相続税法では、何も対策しなければ3代で先祖代々の不動産が納税で無くなるとも言われています。都市計画や区画整理事業の波に乗って、過度な経済成長と人口減少を考慮せず期待した結果、商業施設の誘致と保留地の売却が計画通りに進んだ地域と売れ残り苦戦した地域に分かれました。
市街化区域を拡大した結果、道路が整備され路線価が設定され、多くの市街地農地の相続税評価が宅地並み評価となり売却や賃貸事業の債務控除で相続対策や固定資産税対策に対応せざるを得なかったことも事実です。
都市中心部と新たな市街地とでは、相続対策も違います
新たな区画整理事業により都市化が進んだ地域では、不動産売却により現金化された流動資産による分配・支払い・転用という方法と、債務控除を利用した賃貸事業では、農地から宅地へ転換して資産を残すことと全体の相続税評価を下げるという方法があります。
又、事業収支により他の多くの不動産の固定資産税を賄う維持管理費の捻出にも貢献することで、需要も高まりました。それは、その地域において長期に安定した事業として成り立つことが前提でした。
その地域において賃貸建物が過剰に供給されれば、入居需要が不足し空室問題が発生することは当然です。対策をしてそれでも市街化農地が多く残っている場合は、農業後継者の問題、住居用途の場合は、不動産売却しか選択肢が残らない現状があります。
不動産を売却すれば、そこには、購入者の住宅や建物が建つことになり区画整理事業の目的となる住宅地が形成されていきます。
先行して市街地が形成されていた中心地の旧市内の場合は、老朽化物件の建替えや売却により住宅や店舗、賃貸アパートやマンションが建てられました。
高度成長期以前なら、賃貸事業は貸し手市場で競争力が無くても、入居者に困らず現在も家賃相場は下落しても立地だけで成り立つ要素があり、売却より建替えて賃貸事業の選択が出来る地域と言え、都市中心部の旧市街地と新たな都市化が進んだ地域では、不動産売却と債務控除の賃貸事業による相続対策に違いがあります。
地方経済成長への過度な期待と人口減少、少子高齢化とのバランス
近年、空室に悩み、入居者需要が減少して賃貸事業が難しくなったと言われていますが、果たしてそうでしょうか?それはその地域に物件が多く供給されている、或いは、過度な経済成長への期待と、入居需要への期待からバランスが崩れているからです。
居住する人がいるから住宅を建て、お部屋をその地域で借りたいから入居希望者が見込めます。相応の土地の価格、相応の家賃が設定されます。需要と供給のバランスが地域で異なることで、相続対策も手法が異なってきます。
用途が定められている以上、住居地域は居住系の建物しか建てられません。債務控除目的の賃貸物件が飽和しているなら不動産売却等の別の選択肢になります。立地により入居需要が見込める地域なら建替えや新築による賃貸事業による相続対策はまだまだ可能です。
不動産売却でも住宅需要のある地域なのか、賃貸事業なら賃貸需要はある地域なのかを検討することが重要です。相続対策は何もしなければ3代で資産が納税で無くなると言われますが、市街化を目的とした都市計画では、住宅が建ちます。つまり、不動産の売却が進んで行くということで、残すには程度限界があるということです。
少子高齢化、人口減少を考慮すれば、新築住宅も地域により、供給過剰となり売却も大変な時代が到来すると言われています。

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