コロナ禍での賃貸借契約の期間満了、解約、解除について確認しておきましょう
コロナの影響で家賃の滞納、未払い、減額交渉等、大家さんも入居者も双方にとって現実的な対応が必要となる機会が増えています。改正民法と賃貸借契約についてもう一度、お浚いしておくことが大切です。
期間の定めのある建物賃貸借契約の終了には、次の原因があります。
1.期間満了(更新拒絶等の通知が必要)
2.解約申入れ
3.債務不履行による契約解除
4.合意解除
5.その他
期間満了で終了させる場合、貸主には「正当事由」が必要です
期間満了で契約を終了させる場合、貸主は、借主に対して、期間の満了の1年前から6カ月前迄の間に、「更新拒絶等の通知」をしなければなりません。しなかった場合は、従前の契約と同一の条件で更新したものとみなされます。(法定更新。借地借家法第26条1項)尚、借主に不利な特約には効力はありません。
「更新拒絶の通知」は、貸主でも借主でも、期間満了の1年前から6カ月前までの間にしなければなりません。
貸主からの「更新拒絶の通知」には、「正当事由」が必要とされています。(借地借家法第28条)
貸主の「正当事由」の考慮要因って、どんなこと?
<正当事由の考慮要因とは>
・貸主及び借主が建物の使用を必要とする事情
更新を拒絶する貸主がその建物を自ら使う必要性がどの程度あるか、又は借主が他に使
用できる建物が有るか等
・建物の賃貸借に関する従前の経過
契約の経緯や権利金等の支払いの有無、金額、契約上の義務の履行等
・建物の利用状況
借主の利用状況、用法違反はないか等
・建物の現況
建物の老朽化により大規模な修繕あるいは建替えが必要になっていることや、建物敷地
の利用する権利の喪失によって、建物の利用が困難な状況になる等
・財産上の給付(立退料)の提供の申出
尚、「正当事由」は、期間の定めのない場合の解約申入れ、および期間内解約条項に基ずく解約申入れによる契約終了にも適用されます。
期間の定めのある賃貸借契約の解約は、いつでもできますか?
契約当事者が期間内解約の条項を設けた場合は有効です。予告期間の定めが無い場合、申入れから3カ月を経過することで、契約は終了します。
期間の定めのある建物賃貸借契約の内、居住用建物の定期建物賃貸借契約の場合、建物の床面積が200㎡未満であれば、転勤、療養、親族の介護、その他やむを得ない事情が有る場合は、解約申入れから1カ月を経過することで終了します。
尚、期間内解約条項の無い契約は、期間中に契約を解約することはできません。
<期間の定めのない賃貸借契約>
借主からの解約申入れの場合は、申入れから3カ月経過することで終了します。
貸主からの解約申入れの場合は、「正当事由」が必要で、解約申入れから6カ月を経過することで終了します。
債務不履行による契約解除とは、どんなこと?
解除原因となる債務不履行としては、賃料不払い、賃借権の無断譲渡、無断転貸、用法遵守義務違反等があります。
契約を解除するには、履行期の徒過、相当期間を定めた催告、解除権の意思表示が必要です。
改正、新民法では、債務者に帰責事由がなくても契約を解除することができるようになりました。
良質な賃貸経営をするうえで、賃借人が優良であれば理想ですが、クレームの多い事業であることも事実です。
初めて体験するコロナ不況において、予想外な状況も有り得ます。基本を再確認して最善の選択が出来るよう、対策することが大切です。

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