不況を乗り越えてきた居住用賃貸事業
ー金沢なかまち不動産BLOGー
日本は今まで4つの大きな不況を経験してきました。世界恐慌、オイルショック、そして1993年のバブル崩壊があります。株価は1989年をピークに、不動産価格も1991年頃から下落が始まり、1995年には住専破綻、1998年には長銀が破綻し、不動産の公示価格も2005年迄下がり続けました。もう一つが2008年のリーマンショックです。不動産業界では、バブル崩壊の時、事業用賃貸から居住用賃貸事業への転換が進み、その後のリーマンショックも乗り越えてきました。
居住用の家賃は、入居者需要により相場が形成される
バブル崩壊後、事業用賃貸に代わる不動産活用として居住用賃貸事業の市場が大きく躍進しました。それ迄は、マンションやアパート事業は特別な資産家がステータス的に手掛ける特別な事業とされていましたが、区画整理事業で市街化が進み、市街地農家の宅地並み課税や相続税対策に有効な土地活用として居住用賃貸事業が拡がりました。
家族の在り方も変化し核家族化が進む中、入居者の要望を反映した建物も多く供給され、地方と首都圏との相違はありますが、地域で間取り、グレード、築年数等により家賃相場が形成されてきました。しかし、同一エリア内に入居需要以上に過剰に建物を供給すれば、空室が増える結果となります。その為、入居者需要に対して、建物の供給過多にならない入居率の確保が必要になります。
大家さんとしても損をしてまで家賃を下げることはできませんし、家賃を下げれば入居者が増えるわけでもないのが、居住用賃貸事業です。競合物件でお互いに家賃のダンピングをすることは、相場を壊し共倒れする結果を招きます。
入居者需要以上に建物は供給できない
賃貸事業は入居者需要以上に建物は供給できません。相続対策、投資事業であっても採算の取れない事業に資金は提供されないからです。建物は寿命が長く事業も償却以上に安定継続させていくのが賃貸事業です。特に、居住用は入居需要により家賃相場が形成されますから、突出した事業では成り立たないのです。入居者は個々の生活事情により、物件を選べるのが賃貸の利点です。大家さんは、自己物件を入居需要とする需要層の相場を維持した安定長期の経営に取り組むことが居住用賃貸の真価です。それ故、過去の不況にも大きく左右されず長期経営が成り立っているのです。
この度のコロナショックでも、居住用家賃の相場が大きく変化することは無く大家さんには安定事業となると思われます。居住用賃貸事業は大きく儲かる事業では無く薄利安定が基本となります。不況を皆で乗り越えていきましょう。

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